TCH:Tooth Contacting Habit(上下の歯をくっつける癖)
1日(24時間)のうち、上下の歯が接触している時間はどれぐらいかご存知ですか? 今までの報告では
17.5分
と言われています。 この17.5分には、会話と食事(噛む時、飲み込む時)の際の接触時間も含まれています。24時間中の17.5分ですから、異常がなければ「ほとんどの時間で上の歯と下の歯は接触していない」と考えていただいてよいと思います。
食べ物を噛むとき上下の歯が接触するのは瞬間的で持続的にくっついていることはほとんどありません。噛むための筋肉がリラックスした状態では上下の歯の間は1~2mm程度空いているのが普通の状態です。 しかし、歯ぎしり、くいしばりなどで歯に何十分も持続的な力が加わると、歯や歯の周りの組織に無理な力がかかっていることになるわけです。
特に睡眠中の歯ぎしり・くいしばりは、大脳皮質の働きが抑制されて噛む力を調整できないためかなり大きな力が加わります。このときの力は60~120Kgぐらいとも言われています。
睡眠中の歯ぎしりや食いしばりは色々な問題を引き起こします。
歯がしみる(知覚過敏症)
歯が削れたり、歯の表面のエナメル質がはがれた り、歯の根が露出したりすることにより、外からの刺激が歯の中へ伝わり、歯の中の神経を刺激することにより、しみたり、痛みとして現れてきます。歯の周囲骨の吸収(歯周病の要因)
歯がゆすられることにより、歯の周囲骨に過大な 応力が加わり、骨が溶けたように吸収してきます。歯周病を助長し、歯の動揺が見られる場合があります。
歯や歯の根が割れる
歯の根が縦に割れてしまうと、基本的にその歯は残すことが難しくなりますので、抜歯になる可能性が高いです。特に神経の処置をしてかぶせ物をした歯は根が割れるリスクが高くなります。
歯の周りの痛み(歯根膜炎)
歯と骨の間には歯根膜繊維というものが介在しています。これは普段、歯と骨をつなぎ、歯に加わる衝撃が骨にダイレクトに加わらないように緩和する役目、物を噛んだときの感覚を伝える役目があります。しかし、持続的な圧力が加わったりしてその許容範囲を超えたとき、歯根膜繊維の炎症として、歯の周りに痛みを起こしてきます。
頭痛、顎関節の痛み
心身にストレスがかかると顔つきが変わります。 目も引きつったりします。口元もしまります。これは顔の周りの筋肉が緊張してこわばった状態です。特に咬筋、側頭筋といった噛むための筋肉が硬直したとき筋肉の痛みとして現れます。また、顎の関節にまで力が及ぶ場合は顎関節症として痛みを引き起こす場合もあります。
TCHの予防法
また、ストレスもTCHの原因の一つと考えられています。普段からストレスを溜め込まず発散することも大切になってきます。
睡眠中の歯ぎしり・食いしばりに対してのマウスピースを作成するのも良いかと思います。(保険適応3割負担で5000円くらいです)
まとめ
- TCHとは上下の歯を必要以上に上接触させてしまう癖である
- 上下の歯の必要以上の接触は口の中に様々な問題を引き起こす
- 無意識に行うため、自覚するのが難しい
- 睡眠時の歯ぎしり・食いしばりにはマウスピースがおすすめ